
結論から言うと、一般人の写真を本人の許可なくトレースしてイラスト化するのは、状況によって著作権・肖像権・パブリシティ権の問題を生じる可能性があります。
大きく分けると以下の3つの論点があります。
1. 著作権(写真の撮影者が持つ権利)
- 写真は著作権で保護される「著作物」になり得ます。
特にポーズ・構図・ライティング・背景などに創作性がある写真をそのままトレースする場合、「翻案権(改変して二次的著作物を作る権利)」の侵害になる可能性があります。 - 一方、単なる証明写真や記録的なスナップ(誰が撮ってもほぼ同じになるもの)だと著作権が認められないこともあります。
✅ 例
- 雑誌やSNSでクリエイティブに撮られたポートレート → 無断トレースは著作権侵害の可能性高い
- 証明写真ボックスのような画一的な構図 → 著作権侵害のリスクは低いが、後述の肖像権は別
2. 肖像権(写っている人の権利)
- 写真に写っている人の人格権として「無断で利用・公表されない権利(肖像権)」があります。
- イラスト化しても元の人物が特定できるレベル(顔立ち・髪型・服装・特徴などが明確)なら、肖像権侵害と判断される可能性があります。
- 特に商用利用(広告・販売用イラストなど)はリスクが高いです。
3. パブリシティ権(有名人の場合)
- 芸能人やインフルエンサーなど顕名性のある人物を無断でトレースしてグッズや広告に使うと、パブリシティ権侵害(名前や姿に経済的価値があるとされる権利)になる可能性があります。
実務的な安全ライン
- **「本人や写真の著作者から許可を取る」**のが最も安全。
- 写真を参考にする場合でも、特徴を抽象化し、誰か特定できない程度までデフォルメするとリスクが下がります。
- 商用の場合は特に注意が必要で、オリジナル写真を撮るか、商用利用可の素材サイトを使うのが基本。
- SNSの写真を勝手にトレースして公開するのは、トラブル化しやすいです。
まとめ
- ✅ 元写真に著作性があれば著作権侵害のリスクあり
- ✅ 人物が特定できる形であれば肖像権侵害のリスクあり
- ✅ 特に商用利用はNGと考えるのが安全
「練習目的で非公開に描く」程度なら問題になりにくいですが、公開・販売・宣伝で使うなら必ず許可を取るべきです。

